NewブルーヘブンL80/中深海編

NewブルーヘブンL80/中深海編

ヘビーな深海ゲームをライトに革新する!?

リリースが待たれるブルーヘブンL-80。実戦にフォーカスして開発、設計が進められた同機。マグロ、ブリと並んで照準を定めたのは深海のキンメゲームだ。全国屈指のキンメフィールド、新島沖での釣りを前提に、西本康生が要求する条件を高い次元でクリアしたBHL-80。その実力を検証してみたい。

職漁では定番、高級食材としても馴染み深いキンメダイ。いっぽう遊漁として、とりわけジギングによるキンメゲームはスタートしてまだ日が浅い。人気は右肩上がりのキンメゲームだが、フィールドによって特徴は大きく異なってくる。西本康生のホームグラウンドである伊豆半島南方沖に広がる、通称「新島沖」は、型揃い、美味で鳴らす、素晴らしいキンメを狙える反面、日本各地に点在するキンメフィールドと比較し難度の高い釣り場とされる。そこで、まずは前提となる新島沖の特徴を理解しておきたい。

新島沖は職漁師が集結する激戦区でもある。季節にもよるが、釣りができる時間が明確に決められており、6~7時間程度がフィッシングタイムとなる。

 

新島沖は広大なフィールド。ポイントは各所に点在し、攻める水深は400m弱から500mが目安。2Kgは当たり前、目指すは3kgクラスという型狙いの釣り場で、1枚釣って胸をなでおろし、5枚も釣れば大漁というイメージの釣りとなる。

潮流は日並み次第だが、2ノット以上流れる状況下で釣ることも珍しくはない。ときには1kgクラスのヘビーウエイトジグが必要となる。そして何よりも釣り人が恐れるのは根掛かり。潮流の速さが、根掛かりの引き金となることも多い。

「ほかの釣り場と比較して、魚の数が少ない、根掛かりが多い、水深が深い、潮が速いことなどが特徴のフィールドです。以前は重いジグを使って、底附近30m以内のタナにジグを持っていけば釣れる、ということもありましたが、近年はそんな楽に釣れることは少ない。アカムツ並みの精度でジグを操作しなければ釣れなくなってきている。逆にそうした精度で釣ることで釣果が得られることも分かってきた。実際、自分自身は昨シーズンを通して、型を見なかったことはほとんどないですね」

苦労して手にするキンメは極上。しかも精度高くジグを操って釣ることができれば、相応の釣果が得られるゲーム性の高さがある。新島沖が、西本のみならず、多くのファンを惹きつけている理由だろう。

600m以上ラインが出ていくことはザラにある。ジグの回収だけでもアングラーに与える負荷は相当なものだ。

 

以上の、新島沖のフィールドの特徴を踏まえ、西本はキンメゲームで必要とされる、リールの性能を教えてくれた。

「リール自体が有する一定以上の巻き上げ力が必要。最低限、これがなければ釣りが成立しない。まずはこの点をクリアすることが第一条件です」

加えて、

●ハンドル一回転あたりの巻き上げ量の変化が少ないこと。

●高い剛性感。

●疲労を軽減するコンパクトサイズ。

以上の3つの要素が欲しい、と指摘した。それぞれを確認していこう。

まず、「ハンドル一回転あたりの巻き上げ量の変化が少ないこと」。これは理想的なスプール幅を設定することで達成される。BHL-80のスプール幅は30mm(BHL-50は24mm)。ボディサイズに対し、十分なスプール幅を確保することで、海底付近で水深の変化があっても、同じ操作感、リーリング感覚で釣りを続けることができる設計となっている。

幅の狭いスプールでは、ハンドル一回転あたりの巻き取り量に変化が生じやすい。巻き取り量が変化するなかでジグに同一のアクションを与えようと思えば、ハンドルの回転数、ロッドの振り幅や入力の仕方などで調整しなければならない。これは釣り人にとって大きなストレスとなる。30mの高低差を一気に駆け上がる、または駆け下がるポイントを攻めることもある新島沖のキンメ釣りでは、その優位性は高い。

「PE1.5号の使用、PE2号の使用を前提に、巻き上げの変化量が少なくなるように設計してもらいました。思い描くジグの動きを出すために、理想的な幅をもたせたスプールは、とても重要な要素です」

400~500m程度ラインを出したときのハンドル一回転の巻き取り量は90cm強。実釣時、海底付近で理想的なジグアクションを生み出すため、計算のうえ設定された数字だ。もちろん、この数字を生み出すのはアングラー目線で形作られたセミワイドスプールだ。

深海でヘビージグを操るキンメゲーム。高剛性が求められることは、容易に理解できるだろう。BHL-80の高剛性に大きく貢献しているのは、左右のプレートをまたぐようにセットされているブリッジ構造だ。BHL-120のブリッジは、フレーム内壁の肉厚にブリッジ根元のサイズが制約される構造となっている。BHL-120はサイズが大きいため、それでも十分な強度を確保できる。しかし、より小型のBHL-30、50ではより剛性をアップするために、新たなバージョンのものから、プレートをまたぐ形状のブリッジ構造が採用された。BHL-80でもこれを踏襲、軽量設計ながらも十分な強度の確保を実現している。

駆動体であるリールは高剛性を確保して初めて十分なパワーが発揮される。パワーの伝達という重要な要素を司るギヤーにも注目してみよう。BHL-80の十分な肉厚を持った大型ギヤーボックスには、直径58.5mmの高力真鍮製、マシンカット大型ドライブギヤーが収まる。このサイズはBHL-120と同じ。マウンテンモジュールの選択、スパーギヤーを採用など、力強い巻き上げが可能とするギヤー素材や形状にも、それぞれパワーアップの秘密がある。

また、スプール軸受に6パイのステンレスシャフトを採用することでタワミ強度を確保。さらにスプール軸に装着される逆転止めのストッパーベアリングは、BHL-120譲りの2個連結仕様を採用。これも強度アップに大きく貢献している。ハンドルアームはBHL-120と同じ厚さ6mmのアルミ材を採用。焼き入れ手法、穴をなくしたデザインに変更することで、力強い巻き上げに貢献している。

「剛性に優れるBHL-80なら、小さいボディでもヘビージグを使えます。普通は剛性、パワー不足を、操作性を少し犠牲にして、ハンドルを長くすることでカバーするケースが多い。でも、BHL-80の剛性感なら、操作性の高い98mm長のハンドルでも快適に使用できる。それだけ繊細な釣りを展開できます。もちろん、ヘビージグの扱いに慣れてない方は110mm長にセットするといい。ハンドルを伸ばし、トルク感を落としてリーリングすれば、回収などはとても楽ですから」BHL-80は98mm、110mmとツーウエイでハンドル長をセットできる。好みで選択するとよいだろう。

BHL-80のハンドル長は98mmと110mm、2つをセレクトできる。操作性とパワー、どちらを重視するか、が選択の基準となる

 

疲労を軽減するコンパクトサイズ、これも高剛性が確保されて始めて実現できる。サイズを小さくするだけで、非力なリールになっては意味がない。

「握り込めるギリギリのサイズ感、パーミングしやすいサイズです。手の大きい人なら上手にやれば、パーミングしたままドラグレバーの操作を片手だけでできます」

コンパクトであっても、ラインキャパシティは、PE2号で1200mを確保。キンメゲームで必要とされる、高切れを考慮してのラインキャパシティを十分に満たしている。

西本はこれまでキンメゲームでは、BHL-120、120Nを使用することが多かった。BHL-80の自重は620g。BHL-120は800g、120Nは760g。BHL-80は、それぞれに比較して、180g、140g軽くなっている。体力消耗の激しいキンメゲームで、タックルが軽くなることは、誰でも大歓迎のはずだ。

BHL-80の最終プロトモデルを携えての新島沖テスト釣行が、昨年の12月、南伊豆弓ヶ浜の「恵丸」船上で行われた。この日も終始、潮流は2ノット前後と速かった。水深は朝一番こそ400mを切ったが、以降は500m前後が主体。使用ジグは600gから800gが中心だった。西本は2kgクラスを含め、4枚の新島キンメを手にした。

ときには1kgといったヘビージグも必要だ。ジグの重さ、キンメの重さ、そして速い潮流と500mを超えるファイト。リールへの負担は相当に大きい。

 

「前半は根掛かりが多く、ジグのロストが連発、キツい釣りでした。少し潮がたるんでからは、ジグのフォールスピード、ジャークも合ってきて、アタリがよく取れるようになって、何とかなりましたね。今回はBHL-80のPwモデルを使いました。とてもパワーがあるので、掛けてからの巻き上げが楽。けっこうウネリの上下があったけれど、Pwモデルでも糸フケを出すことなく対応できたので、バラしにくいやり取りが出来ましたね」

BHL-80の登場により、キンメゲームにおけるリールの選択肢は拡がりをみせている。さまざまな条件、自分が展開したい釣りに合わせた使い分けが可能になったのだ。

一見すると深海での釣りをしているようには思えない!? このパーミング性、このコンパクト感! キンメゲームがライトに、テクニカルに変化する!?

 

「BHL-80のボディはキンメゲームに必要十分な大きさ。パワーはBHL-120に匹敵します。高い剛性感、十分なラインキャパシティ、使いやすいスプール幅。キンメゲームにおいて理想的なリールです。今後は、大きく重いジグを使う必要があるときはBHL-120、120N、それ以外ではBHL-80を使用すると思います」

西本がキンメゲームで基本としているのはHiモデル。着底後、素早く糸フケを取ることができるので、根掛かりを防げるというのが基本として理由だ。もちろん、Pwモデルが活躍する状況もあるし、好みで選ぶのもいい。

「潮が緩いときは食いが落ちる気がする。タナをゆっくり、丁寧に攻めることができ、ジグをヒットレンジに留めておきやすいPwモデルはこんな状況下で使いやすいと思います」

常に同じ感覚でジグを操るために、理想とされるスプール幅を決定する。この発想は釣り込んだアングラーからしか生まれない。

 

非力を自認する!? アングラーにはPwタイプとロングハンドル、つまり110mm長をセレクトすれば、ヘビージグでのリーリングはさらに楽に行えるだろう。これ以上の楽さを求める!?  そんなアングラーには、「手動ではなく電動でやってくれ(笑)」とは西本からのアドバイスだ。